CEATECで見たもの

今週(10/4(火)~10/7(金))幕張メッセで開催されているCEATECに行ってきた。伝送関係で興味深かったものを紹介したい。

Mid-busケーブル接続

Capture_4TE(旧タイコエレクトロニクス)のブースでお話を伺ったのが、最近、バックプレーンの伝送をプリント基板を使わずにケーブルで接続する事例が出てきたという内容。ケーブルというとどうしても、インピーダンスコントロールやスキューの管理といった電気的な設計が難しそうな印象があるが、基板は基板なりの難しさがあるのでケーブルを使うというアプローチもアリなのだそう。TEがSliverと呼んでいるソリューションはコネクターも含めて最大32Gbpsをサポートするのだとか。同軸ケーブルだとインピーダンス制御が簡単だと思うのだが、こちらのお話では通常の単線ケーブルを使っているそうだ。
同じ話をアンフェノール(FCI)でも伺った。どうもサーバー等ハイエンド機器のあるメーカーが両者に話を持って行っているような印象を受けた。こちらはツイナックスケーブルを使っているそうで、コストの関係からやはり同軸ケーブルは採用していないとのこと(安い同軸ならツイナックスより安そうなものだけれど...)。ツイナックスなのでペア内スキューは良いけれど、ペア間スキューの管理はやはり難しいとのことだった。
ケーブルはプリント基板配線に比べると比較的ロスも小さく、2次元に縛られないので構造的な自由度も高い。こうしたメリットを考えると、回路はいつまでもプリント基板に縛られている必要が無いのかもしれない。

光伝送

最初は新光商事で光HDMIケーブルを見つけた。コネクターハウジング内で光電変換しているタイプで、10mケーブルなのに持ち上げると驚くほど軽かった。この時、値段を聞いておけばよかったのだが、調べてみると同じようなケーブルが4万円程度から市販されている。HDMI端子に供給されている電源を使うので見た目も非常にスッキリしている。
Pic01_4パナソニックのブースで展示していたのが、制御機器用の光アクティブコネクター。機器内用の光ケーブルで、コネクタープラグの部分に光電変換を搭載している。双方向1chで最大6Gbps、単方向2chで最大16Gbpsをサポートする。コネクターは20ピンもあるが、信号は2ペア4ピンだけで、あとは電源・GNDだ。消費電力は300mW程度だそう。気になるお値段は、両端の基板側コネクターも含めてざっくり1万円程度とのことでまだまだお高いが、現実的な価格に近付いているといえる。
東洋電機のブース前に掲げられていたのが、開発中の光空間伝送装置。監視カメラのような形状をしているこれらの機器間を光で通信する。調べてみると、既に同社から製品化されている装置はいくつもあり、今回展示しているのは長距離大容量のタイプ。Gbps通信を距離1kmを目標に開発しているとのこと。使っているのは赤外線で、光軸を合わせるのがキモなのだとか。そのために手ぶれ補正機構を応用しているそうだ。空間なんて揺らぎとか減衰が大きそうだけど、考えてみれば1km程度なら人間でも見通せる(焦点は合わないが)のだから、光は普通に届くわけで、驚くほどのことでもないのかな。

基板からケーブルに代わっていくと基板での伝送を一生懸命考えることも無くなって、電気から光に伝送が移行すればノイズも考えなくて良くなって、ラクになりますかね?


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Techno-Frontier 2013 (7/17)

東京ビッグサイトで開催されているTechno-Frontier 2013、初日の7/17(水)に行って来た。開催は7/19(金)までの3日間。
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他の展示会では恒例になった分解展示だが、ここでも日経エレクトロニクスの協力でコーナーが設けられていた。JPCAショーに比べると展示台数は少ないが、写真撮影も可能という点はメリット。iPad mini、Nexus 7、iPhone 5、WiiU、iPhoneの山寨機が分解・展示されていた。
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このコーナーに併設されている会場で開かれたセミナーを2つ聴講。
ひとつはシステムデザイン研究所の久保寺さんによるノイズ対応設計講座「ちょっと待った!そのプリント基板設計の考え方、正しい?」で、プリント基板上の3つのノイズ源、電源回路、発振回路と高速信号配線それぞれについて設計の注意点を丁寧に解説された。基本的なことで知っているつもりでも、改めて聞かされるとなるほどと気付かされる点もあり、勉強になった。
もうひとつは日経エレ編集長の大久保さんによる「ヒット商品を分解・解説」という分解セミナーで、iPhone5とWiiUの分解記事に基づいた解説であった。WiiUはタッチパネル式ディスプレイの付いたコントローラーに本体よりも興味を持ったところは自分も同じで、中身は意外にシンプル...大したコントローラーが搭載されていないところに驚かされる。
すぐ横のカウンターでこれまでの日経エレの分解記事を再編集した「分解大全」を会場特別価格で販売していた。高かったのだけど、特別価格に魅かれて買っちゃいました。

展示で興味をそそられたのは、ノイズ研が展示していた電磁界の可視化システム。いわゆる電磁界スキャナーではあるが、カメラがプローブ位置を認識して、対象物のどこで電界強度が大きいかなど判り易く表示してくれる。プローブは手に持って動かすためオシロスコープのFFTを利用してリアルタイムスペアナ的に電磁界を測定する。プローブ自体はXYZ 3軸独立に測定できるが、方向を認識する機能は無いのでユーザーが向きに注意して動かすか、方向は無視して絶対値で捉えるしかない。
このブースのすぐ近くで展示していた森田テックでは同様の電磁界スキャナーを展示しているのだが、こちらは三次元カメラを使って(正確にはカメラと赤外線センサーを使って)奥行を検出しており、三次元空間の電磁界を可視化できる。ノイズ研のは二次元(面)での測定なので、一歩進んだ測定方法だといえる。
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太陽誘電で見せていただいたセラミックキャパシター(MLCC)の山。0402とかリワークできないよね。
MLCCも大容量化が進んでおり、目標は1000uFなのだとか。機能性高分子キャパシタとかアルミ電解コンがライバルですね、と言ったら「その通り」だと。
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目的のノイズ対策技術展と電源技術展以外も見て回ったが、ボードコンピュータ展の出展が非常に少なくなったのが寂しい。ほとんどはET(組み込み展)の方に回ったのか、それとも業界が小さくなったのか。そんな中で梅澤無線電機エル・アンド・エフエンベデッド・テクノロジーの3社が合同で出展している産業用組込みボードの展示が面白かった。各種のCPUやI/Oを独自の小型ボードでモジュール化して、必要なボードをスタックしてシステムを構成する。各ボードはISAバス相当の共有バスで接続される。PC/104というフォームファクターだそうだ。実験用途にいろいろな制御系を手軽に組めそうで面白そうだと思った。

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JPCAショー2013

JPCAショー2013に行ってきた。

恒例の「電子機器分解展示コーナー」を見てきた。撮影禁止なので写真で紹介できなくて残念。
今回はますます広いエリアを取っていて、さらに反対側の会場には電気自動車日産リーフの電装系を分解展示した別コーナーも設けられている。大人気なのがよくわかる。
元気のあるスマホやクルマの分解展示はともかく、PC技術屋としてPCの分解展示をじっくり眺めてきた。入り口直近にMac Book Pro Retinaがあった。ひと目でわかる部品レイアウトの美しさ。キーコンポーネントはCPUとGPU、PCHだけで、16個のDRAMが整然と並んでいる横長の基板。CPUから両側に伸びたヒートパイプは両端で薄型の冷却ファンにつながっていて、右側はGPUの上を通っている。左側のファンの手前でメインボードは終わっており、その先のI/Oパネルにはフレキで、下はSSDとワイヤレスの子基板につながっている。ボード上に見える部品点数が極端に少ない。裏面配置なのか、もしくは載っていないのか。
隣にあるToshibaのDynabookと比較してみると違いが明確。Dynabookの方は見たことのある部品で占められている。つまり、汎用部品でコストダウンを図り、部品単価の高い特殊部品は使っていない点がMacと大きく違う。
さらに並んでいるSony VAIOと互いの比較も興味深い。VAIOは特殊部品が多い。特にコネクタは低背の特殊なものが使われていてDynabookとは対象的。逆にMacほど洗練されて見えないのは、部品点数が多いことと、やはりレイアウトだろうか。VAIOは部品メーカーの設計ルールに準拠して設計していることがありありと判る。
Microsoft Surface RTも並んでいた。こちらは一見してPCと違う。別のケースにあるiPadや他のタブレット端末同様、細長い基板形状と、回路ブロック毎のメタルシールドが特徴。基板のコストが上がるのでPCではあまりやらないが、タブレットの部品ベンダーは無線(RF)系が多いのでそうなっているのだろうか。

その後、セミコンサルトの上田さんによる「分解セミナー」を聴講。都合でクルマ(電気自動車)編しか聴けなかったが、相変わらず面白いお話だった。特に「『イノベーション』を『技術革新』と「誤訳」した罪は大きい」という指摘は目からウロコが落ちる思いだった。

アカデミックプラザで「負の透磁率材料を用いた伝送線路の表皮効果抑制・低損失化」という研究発表を聴講。信州大学と長野工業高専による研究。表皮効果を起こすのは自己インダクタンスだから磁性材料を活用してインダクタンスを制御すればいいというのは面白い発想だ。ただ、材料特性から、狙った狭い周波数帯域での効果しかないのが残念。あと、インピーダンスや伝播遅延といった他のパラメータも変わってきちゃうのではないかという点が気になった。

基調講演「三次元実装 日本の研究開発の展望」というお話をASETの池田さんによる講演で伺った。ASETの3D-ICプロジェクトは今年3月で一応終了したそうで、その成果が披露された。実際にデモチップも作り、実用化にメドを付けたということだが、なかなか量産化が見えてこない気がする。池田さんはエルピーダの方なので、エルピーダあたりからアプリケーションが出てくるのに期待したい。ASETのホームページに成果発表の資料があるようなので参考までに。

続いて基調講演「All Programmable 3D IC Integration:ムーアの法則を超えて」という、ザイリンクスKK社長 サムローガンさんのお話を聴いた。相変わらずくだけた語り口で楽しかった。

日本のエレクトロニクスは元気が無いと言われている、ワリには会場に参加者も多く、展示ブースも賑わっていた。会場内では中国語、韓国語で会話する人たちもチラホラ。彼らはビジネスでも技術でももはや日本をお手本にする時代は終わった、などと言っているけど、まだまだこうして勉強しに来ているようですね。

[2013/06/27追記] こんな面白いもの展示してたのですか~。日本LPKFのブースは脇を通ったのだけれど、見てくれば良かった。(biztechの日記さん:JPCAショー2013)

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JPCAショー2012。分解展示が面白かった。

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先週6/14~16の3日間の会期で開かれていたJPCAショーを見に行ってきた。行ったのは最終日16日(金)、場所は東京ビッグサイト。JPCAショーは東ホール側で開催されたが、西ホールでは東京おもちゃショーが開かれていて、そっちも面白そうだった。

午前中、富士通の佐相副社長による特別基調講演を拝聴した。まぁ、基調講演らしい内容なので特段ここで取り上げるものでもないが、「ものを作らないものづくり」ということを言っていたのは印象的だった。つまり、シミュレーションを活用した設計を重視していると。エラい人になるとシミュレーションに懐疑的だったり、そもそもこのレベルの人が設計手法などという細かいトコロに言及することも無かったりするものだが、佐相さんの口からこういう言葉が聞けるというのは何だか嬉しくなる。昔の上司だった人だけど、当時シミュレーションを自由にやらせてもらえたのはこの方のおかげなのかなぁ…当時でも上の人すぎて判らないのだけれども。

その後、ソネットのブースによって石飛さんとしばし雑談…。最近は「設計を知らないのにシミュレータを使って何かできた気になる人が多くて困る」ということを仰っていた。うぅむ、どっかで聞いたぞ。「中身(原理)も知らないのにシミュレータを使って判った気になる」のは困る、と先生方も仰っていた。シミュレータを使うには、原理(理論)もものづくり(実践)も知らないとダメ、となると随分ハードルが高い。自分には資格が無いなぁ…。
ただ、結果に慢心しない(盲信しない)、判らないことには謙虚な姿勢で臨む(勉強する)、そうして経験を積むことが大事じゃないでしょうか。

午後はブースを見て回ったり、部品内蔵のセミナーを覗いたり。部品内蔵の標準規格EB02で標準フォーマットとされる"FUJIKO"は、名称を何とかした方がいいんじゃないだろうかと思う。たまたまセクシー居酒屋が摘発されたニュースがあったせいかも知れないけど。

ブースで興味深かったのは、AIST(産総研)の「ミニマルファブ」。大きなクリーンルームに製造装置があるのではなくて、半導体製造装置内にクリーンルームがあるという発想。30cm角位で高さ1m程度の装置内に、半導体製造の一工程が収まる。これらを必要な工程の分並べれば、ミニ半導体工場の出来上がり。半導体ファブというと一棟数千億円位の費用が必要だが、これなら数億円で収まるという。
「ハーフインチウェーハー」と称する、コイン位の大きさのシリコンウェーハーが「キャリア」というカートリッジに収まって、カートリッジを装置にセットするとウェーハーが自動的に内部に搬送されて加工される。カートリッジと装置内部がクリーンルームになっている。
実際に動いているところを見せてもらった。カートリッジの扱いは簡単で、展示会のような環境でも加工に支障はないというところがすごい。
ハーフインチウェーハーから取れるチップの数はごく少量で、300mmだ400mmだと言っている現行の半導体とは対極を行く少量生産方式だが、この方が時代にマッチしているかもしれない。ファブレスの中小企業が、ミニマルファブを持って自社半導体を自社生産するという未来がくるのかも。

もうひとつ面白かった展示が「電子機器分解展示」という特別展示。特にスマートフォンの分解展示が多く、日本では珍しいNokia Lumiaシリーズや、HTC One Xといった最新機種、「HDC」というコピーブランドまで("Gooapple"なんてのも)展示されていた。アップルiPhoneのベアボードやA4, A5の実装前チップなど、どうやって入手したのか謎なモノまで展示されていた(さりげなく飾ってあったけど、コレって実はスゴい。簡単にはできません)。
この分解展示を手掛けたセミコンサルトの上田さんによる「分解セミナー」があったので聴講してきた。会期中5回も開かれ、毎回テーマが違ったようなので、できれば全部聴きたかった。というくらい面白い内容だった。
今回(最終回)はスマートフォンについて。特に、アップルとサムスン。アップルはデザイン重視。サムスンはかつてのような質の悪い設計ではなくなり、かなり良くなってきているとのこと。日本は、例えばL/Sを30/40とか難しい設計製造を得意にしているが、海外ではそういう技術を踏まえてあえて50/50とかマージンのある設計をして量産歩留まりを確保している。基板の断面分析でも、レーザービアのような最先端プロセスは使わず比較的低コストでこなれた技術を使っているが、品質は悪くない。やはり、国内市場だけをターゲットにしている日本のメーカーとでは桁違いの出荷数の海外ベンダーは、考え方も違うのだろう。
それでも、上田さんが強調されていたのは、日本の技術があったからこそ海外メーカーも成功しているのだということ。日本の技術者に「頑張れ」というエールを贈られていたと感じた発表だった。

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テクトロの新製品発表会

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テクトロの新製品先行発表会にお招きいただいたので、行ってきた。

予想した通りのハイエンドオシロと、もう一台は予想外だった。

ダナハーグループ傘下になってからの事業戦略や、東北大通研の中沢先生の高速光通信に関する興味深いご講演も聴くことができた。何より、懇親会でテクトロの皆さんをはじめとしていろいろな方々とお話しできたのが一番の収穫だった。

おみやげにバームクーヘンをいただいた。カミさんと子供たちの大好物で、大喜びでした。




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EDSFairの協調設計セッション

1月27~28日の会期で開催されているEDSFair2011に行ってきた。会場はパシフィコ横浜展示ホール。
27日の特設ステージで行われた協調設計に関するセッションを聴講するためだ。

16時からのセッション2 設計維新:こうすればできる、LSI・パッケージ・ボードの協調設計~協調設計が日本の製品を変える!~というパネルディスカッションが、協調設計セッションの第1部だ。

チップベンダー、セットベンダー、EDAベンダーそれぞれでパネルディスカッションを行い、最後にそれぞれの代表を立ててパネルディスカッションという変則的な形式だ。

チップベンダーの回は、ソニーの田中さん、リコーの大槻さん、富士通セミコンの佐藤さんが登壇した。各社、協調設計はすでに不可欠になっているといい、メリットは過剰なスペックを排除してコストダウンできる点、開発後半でのやり直しを避けてTAT短縮につながる点だそうだ。興味深かったのは、協調設計を成功させるコツとして、マネジメント、エンジニアのスキル、EDAツール、IPリファレンスデザインを挙げていたことだ。エンジニアのスキルとしては、デジタル設計のスキルより、アナログ的なセンスが求められるようだ。

セットベンダーの回は、キヤノンの林さん、東芝の岡野さん、トッパンNECの金子さんが登壇。PI設計の最適化がトピックになった。逆に、いまセットメーカーが困っていることってPIしかないのだろうか、という疑問を感じた。その流れで、チップの電源ノイズモデルが欲しいというリクエストが出たのは、いつもの通り。

EDAベンダーの回は、アパッチの人見さん、ATEの板橋さん、図研の大坪さん、メンターの久島さんが登壇。EDAツールのデータ互換性が議論の的に。設計入力情報、すなわちネットリストや物理特性などの共通化、設計後のアウトプットといった部分を共通化して、LSI、パッケージ、ボードはそれぞれの設計CADに分かれて使うというコンセプトが示された。

最後に総括として、JEITA LPB相互設計WGのルネサス 永野さんを加えて、まとめとWGの活動報告がされた。

ここまでを振り返ると、LSI・パッケージ・ボードの協調設計を議論するのに、このグループ分けはおかしくないのかなと。LSIベンダ、パッケージベンダ、ボードベンダには分かれないのかと。チップベンダ=LSI+パッケージベンダということなのだろうか。
次に、議論がEDAのデータの共通化という話に収束している印象だったのだが、協調設計の本質はそこにあるのか、という点が疑問だ。今回、JEITAのWG活動として最初のテーマをそこに据えたのは、とりあえず手を付けやすいことだからなのかなと想像できる。
ただ、協調設計は純粋にメソドロジの議論だと思う。ツールにすぎないEDAをいじってみても、大きな流れを変えなければうまくいかないのではないかと。

ここまでで1時間半。さらに30分後の18時から、セッション3 LSI・パッケージ・ボード協調設計は行われているか?~協調設計の事例紹介と普及への課題~と題して、座談会形式のセッションが行われた。

冒頭、芝浦工大の須藤先生から「パワーインテグリティと協調設計」というお話があり、主に、高周波のデカップリングを担うオンチップキャパシタンスにフォーカスしたお話だった。
座談会は、須藤先生に加え、東芝の福場さん、神戸大の永田先生、ソニーの松波さんがASP-DACから参加、前半の田中さん、岡野さん、大坪さんを入れて行われた。
時間が限られていたので深い議論というのはあまりなく、各自の協調設計に対する意見が出されたが、共通して言えるのは、自身の担当分野だけでなく「相手の懐に入り込む」関わり方をすることが大切だということ。また、協調設計はするのが当たり前という「文化」作りが必要で、トップダウンでやるくらいでないとダメだということだ。

ここでもPIが事例に出されたのには驚いた。個人的な印象では、機器の超小型化などは協調設計の賜物だと思っていて、それこそセットメーカが事例としてまず出すべきだと思うのだが。PIなんて、協調しなくてもそれぞれが頑張れば解決できるでしょ? と思うのだが。

協調設計の阻害要因というのは、コモディティ化にあるのであって、PCのような標準部品だけを使っている製品では、既存のLSI+パッケージを使う以上、協調設計の余地は無い。かといってそれがムダが多くてコストが高いかといえば、そんなことはなくて同じものを大量生産するので却って安くなっている。こういう物量の勝負では日本メーカは弱くて、中国台湾にやられている。
日本が生きる道は、反コモディティ化しかないだろう。欧米設計でも、ましてや中国台湾でもできないような、超小型とか超多機能とかいったトンがった製品を作る必要があって、そのために協調設計を活かさなければならない。

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CEATEC 2010に行ってきた(10/8)

昨日ひととおり書いたエントリだが、Postする前にココログのシステムの所為で全部消えてしまった。もう一度書くのは苦痛だが、ガマンしてもう一度書くことにする。

CEATEC Japan 2010に行ってきた。
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すでに様々なニュースサイトや、Twitter #CEATECで大盛況ぶりが伝えられている通り、今回は3Dテレビとスマートフォンが目玉で、特に東芝の裸眼3Dテレビや、auのAndroid端末などには長い行列ができていたようだ。

そんな喧騒とは関係なく、ここではsiblog的視点で見てきたCEATECをレポートしたい。とはいえ、10時~17時の開催時間のうち半分近くをカンファレンスに取られたせいもあり、あまり多くの展示を見ることはできなかった。
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ホール5から入って最初に目に入ったのがソネット技研のブース。石飛さんとしばしお話させていただいた。GPGPUへの対応を伺うと、米国ソネット社の方針はまだ聞いていないが、ご自身としてはそういう流行に左右されるつもりはないということ。利用者に追加投資を強いるような拡張は、製品の性格にそぐわないとお考えのようだ。

ロームはかなり大きなブースで展示していた。インテルと共同開発した電源制御ICとか、下面電極コンデンサなど、いろいろ興味深い展示品があったが、研究開発品を展示するコーナーが特に面白かった。
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300GHzの無線通信デモ。無圧縮の高品位(HD)映像を伝送するようなアプリケーションへの応用が期待できる技術で、ロームは今回、開発中のダイオード送信素子をデモ展示していた。
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アジレントは、閉じた部屋の中で32GHzのオシロスコープをデモ展示していた。写真を撮ってもかまわないということだったので撮らせてもらった。クローズドにしているのは、お向かいの競合他社に見せたくなかったからだそうで。今回、日本で展示会に出されるのは初めてではないだろうか。
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32GHzの信号源を用意するのは難しいためか、CAL信号を入れている。CAL波形の立下りは10ps程度。CALとは思えない歪んだ波形が見えているところが、高速であることを証明している。
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これだけ高速になると、プローブシステムが肝になる。ソルダーインタイプでは、フィルム状に形成された先端チップを交換するシステムになっている。それでもどうしても数mmのスタブは避けられず、若干、帯域性能が低下する。ブラウザタイプのプローブの方が性能が良くて、30GHzまで保証されている。

ホシデンではUSB3.0コネクタやケーブルの部品やアセンブリ、DisplayPortから各種ディスプレイインターフェイスへのドングルなどを展示していた。中華版HDMI(?) DiiVAのケーブルとかもあって面白い。
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山下マテリアルでは各種の付加価値を付けたFPCを展示していた。高速、低ノイズはともかく、放熱型FPCというのもあって目を引いた。
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高速システムの実装例として、富士通のスーパーコンピューター「京」の展示があったので、見ておきたい。
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システムボードやプロセッサのダイも展示されていたのでしげしげと眺めてみると、プロセッサは向かい合った2辺にメモリインターフェイスが配置され、残りのうち1辺からチップ間インターコネクト信号が出ているようだ。この信号が左奥に見えるコミュニケーションチップにつながり、4プロセッサで1ノード(ボード)の計算ユニットを構成しているように見える。最新のスパコンを間近で見られる機会はなかなか無いので、来た甲斐があったというもの。


応用物理学会
がパネル展示でこれからのシリコンテクノロジのロードマップを示していたので、最後に紹介しよう。
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1nmレベルのずっと未来のハナシはともかく、とりあえず直近は「新材料・新構造の導入」による「3次元集積化」がテーマなのだという、足元の確認だけしてレポートの〆としたい。

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EMC・ノイズ対策技術展 2010

テクノフロンティア2010 EMC・ノイズ対策技術展を見学してきた。
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今年は会場を幕張メッセから東京ビッグサイトに移して最初の年になる。また、昨年まで4月開催だったが、今年は梅雨明けの猛暑の中での開催となった。訪れたのは7月23日(金)、最終日となる。

昨年、メッセでは少々広すぎる感があったので、移転は必然か。ビッグサイトでも東棟の半分と、JPCAショーの約半分の規模と大幅に縮小した。テクノフロンティアはいくつかの展示会が同時開催されるが、今回は大きく二つ、メカトロニクスとエレクトロニクスの分野別に各展示会を集約して展示しており、EMC・ノイズ対策技術展は後者のグループになるが、電源システム展熱対策技術展と3分する規模だった。組み込み向けPC基板を展示するボードコンピュータ展が、わずかなブースしか出展していなかったのには驚いた。
会場の規模を小さくしたためか、ブースと参加者の密度は高く、閑散としている雰囲気がなくて盛況な様子に思えた。

対策部品は特に目新しいものが見つからなかった。東芝マテリアルのアモルファス材料を使ったビーズや磁性体シートが変わっていて面白そうだった。
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アモルファスを利用した「アモビーズ」

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使用前。

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使用後。

今回は計測機器でいくつかトピックを見つけた。

インステック。ここ2~3年で個人でも買える程度の低価格オシロスコープが、主に中国や韓国のメーカブランドで出てきているが、そのハシリともいえる計測機器メーカ。今回、かなり大きなブースを構えていた。
デジタルオシロスコープだけかと思ったが、非常に豊富なラインナップを揃えている。また、参考出品で同時4現象表示の意欲的な製品も展示していた...が、正直、帯域性能はせいぜい500MHzだし、測定精度には不安が残る。まぁ、あまりの低価格でつい色眼鏡で見てしまうせいもあるかも。
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ただ、こういった低価格製品には老舗のメーカも危機感を感じているらしいので、大手メーカの製品も手頃な値段に落ちてくれば嬉しいのだが。

アンリツ。日本メーカも頑張っている。展示されていたのは、スペクトラムを内蔵HDDに記録し、信号源(ノイズ源)として再生できる機能を持つシグナルアナライザ。
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ローデ&シュワルツ。最近、初めてオシロスコープを出したことで業界を驚かせた。これまで、EMIレシーバやスペアナ、ネットアナといった高周波測定器では定評と実績があり、憧れのブランドでもあったわけだが、大手3社が幅を利かせるタイムドメインの測定器市場に打って出る目的はなんなのだろう。
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説明員の方に伺ったが、R&Sならではの特徴というのは特に無いようだが、5年を掛けて開発した「自信作」だそうだ。特に他社に無い変わった機能は無くても、高周波測定器で実績のあるR&Sが作ったオシロスコープなら、安心して使うことができるだろう。

アジレント。新型のネットワークアナライザが出品されていた。特徴は、5Hz(!)からの低周波測定。2ポートしかないが、ターゲットは電源回路、電源供給系のインピーダンス測定、すなわちパワーインテグリティ用のネットアナというわけだ。
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展示されているデモでは、ポート1と2を使わずに左側のLF出力、R、Tと書かれたポートで電源インピーダンスを測定している。超低インピーダンスを測る際、各ポートのグラウンドからグラウンドに伝播するエネルギーが誤差要因となってしまうので、左側のポートでは機器グラウンドとポートグラウンドがアイソレーションされていると説明していただいた。
ネットアナでの測定はDC特性が測定できず、またこれまでも数kHzが下限だった問題があり、特にタイムドメイン解析の際、波形のおおまかな振る舞いは低い周波数の影響を大きく受けるので、この機械のように超低周波数が測れるのは重要だろう。パワーインテグリティの関心も高いことから、結構売れる測定器になるのではないか。

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EDS Fair 2010に行ってきた

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1/28~29の会期で開催されているEDS Fair 2010に行ってきた。今年で10周年(EDS Fairという名前になってから?)だそうだ。パシフィコ横浜で例年この時期に開催されるこのショーは、EDA業界だけで規模も大きなものではないので、今日も午後から半日だけ見学しようと思っていたが、朝イチから面白そうな出展者セミナーがあったので、結局丸一日見て回ることになった。

お目当ての出展者セミナーはコレ、

3D Full-wave Package-Board Simulation for SSN-SSO applications (Physware Inc)

昨年あたりから良く名前を聞くようになったPhysware社の創立者でありCTOであるVikram Jandhyala氏によるプレゼンテーション。氏はワシントン大学の助教授でもある。
Physwareの製品である、フィールドソルバphysWAVEと寄生値抽出physAPEX、そして新製品の高速ソルバphysBANDを紹介するセミナだが、内容は特にphysWAVEでどのように、大規模で広帯域なチップ・パッケージ・ボードの問題を解決しているか、という点が主で、非常に面白く聴き応えのあるものだった。

タイトルのようにphysWAVEは3Dフルウェーブソルバと紹介されている。手法としてはBEM/MoMなので2.5Dなのかと思ったが、物体の表面を分割するメッシュで積分法で計算するので、3Dなのだそうだ。体積を分割するFEMでは疎行列になるので計算を高速化しやすいが規模に対して計算リソースが指数関数的に増える。反面、こちらの方法は繰り返し演算なので計算リソースはモデル規模に比例して比較的解きやすいが、密行列ゆえに計算量が多い。ただし、密行列でも行列要素の特徴的な部分に着目し、演算の高速化と並列化を図っているというのが、このソルバのミソである。
また、こういう周波数ドメインのソルバが苦手とする低周波数領域については、磁界と電流のループに着目し、あらゆる可能なループをパターン認識的な手法で洗い出し「ループツリー」を作る方法で、安定性と精度を保った解を導き出すのだそうだ。低い周波数での精度は、タイムドメイン解析で信頼できる結果を出すためにとても重要。
physBANDは、S/Y/Zパラメータ抽出に特化することで、さらに行列要素の圧縮を行い高速な計算を実現したものだそうだ。

途中、大量の数学が出てくるプレゼンテーションで「聴き応えがある」と書いたのは要するに理解できなかったのだが、ソルバの原理や工夫を垣間見ることができて朝イチから来た甲斐があったというものだ。
このツール自体は、かなり高速化しているとはいえ3Dフルウェーブソルバであり、事例などを見てもLSIのパッケージやプリント基板の一部という規模の解析が対象となるようで、また、数~数十GBのメモリを積んだ速いPC/WSで数分~数時間というレベルのもの。2Dや2.5Dでプリント基板全体を数秒~数分程度で解析するツールではなく、HFSSやMW Studioあたりに対抗する製品と考えたほうが良さそう。

さて、展示会場の方は規模も昨年より縮小した感じで、それでも初日にも関わらず大勢の参加者で賑わっていた。

ギガヘルツテクノロジ
最新版のPDN DesignerではICの電源ピン位置とパスコンの位置、またパスコンの実装方法(パッドとビアの位置形状)の設定ができるようになり、「電源インピーダンスの簡易電卓」から一歩進んだ機能を持った。さらに、次世代のPDN Designerを見せていただいた。なんと、今度は電源プレーンの形状入力、電源とIC・パスコン・インダクタの位置指定が加わり、複数層にも対応して、一気にフロアプランナのようなツールに進化していた。これは最早PDN Designerではないので、別の名前にした方が良いと申し上げた。「PDN Planner」とかいかがですか? >河村社長

アイヴィス
Quantam-SI。売れてますか、と失礼な質問をしたが、日本じゃ売れてないですねと丁寧にお応えいただいた。基板屋さんが使えるお手軽なSIツールとは違い、電気屋の使う少々マニアックなSIツールなので、あまり引き合いが無いというのも頷ける。日本じゃSI専任の設計者なんて多分いないのだろう。良くて設計業務の一部としてSI/PI解析をする程度で、突っ込んだ解析をしている余裕なんて無いのではないだろうか。ヘタすると設計者はもはや設計なんてしていない現実が…。

アンソフト
ANSYSに買収されても立派なブースが出ていて景気が良さそう。ネプコンにも出てましたね。DDRメモリ解析のプレゼンを見てSIwaveとNexximが(また)欲しくなった。2P Opteron静音ワークステーションもパートナー展示(クレディスト)。

アパッチ: パネル展示のみ。パッケージのPI関係でいろいろ紹介して欲しかったのだが、あまり積極的に扱ってない印象を受けた。
広島大渡邉研: 昨年もあったプリント基板設計支援システムの研究展示。面白そうな内容。
特殊電子回路: 数年前の未踏プロジェクトで始まったMITOUJTAG。JTAGインターフェイスだけで信号ピンの動きが判るという面白い製品。
メンターグラフィックス: PCB関係はExpedetionとPADSのパネル各1枚といった簡単な展示のみ。
ケイデンス: PCB関係の展示は無し。
サン: 6コアOpteronを8基搭載したサーバ(リンク先の後継機)の展示。

メンターとケイデンスとシノプシスの3大ベンダは大々的に抽選会をやっていた。ケイデンスはかなり近い数字が何度か出たので、意外に当選確率は高いかも知れない(毎回入れ替え)。メンターは1日2回チャンスがあるが、その分ライバルも多い。
あと、スタンプラリーもやっていて、5つのブースでスタンプを集めるとクジが引ける。当選確率が高いようなので、オススメ。

10周年記念ということで、展示終了の18時から「ワインの夕べ」が開かれた。実際には17時半頃からスタートしちゃってたけど…。8ヶ国からそれぞれ赤白のワインが出された。銘柄は忘れたが、評価はこんな感じ。
- イタリア・白 … ◎ これは申し分ない。
- フランス・赤 … × いや、こちらは意外。カビくさくてすえた味。
- 南アフリカ・赤 … ◎ フルーティーで甘美。かなり美味しかった。
- チリ・赤 … × ドライ。いやな味。
- スペイン・赤 … △ これもドライ。味が薄くて印象も薄い。
1時間そこそこでグラス5杯も…飲み過ぎです。正気の残っているうちに帰宅しました。

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ネプコンジャパン

東京ビッグサイトで、1/20(水)~1/22(金)の3日間開催されているネプコンに行ってきた。この展示会、複数の展示会の複合体なので判りにくいが、元々はインターネプコンというエレクトロニクス機器の実装・製造装置の展示会で、そこに関連した試験機器半導体パッケージプリント基板などの展示会が追加開催されることになったようだ。今年も新たに電子材料電気自動車関連の展示会が新規開催となった。

設計に関わる分野では、来週のEDSフェアや6月のJPCAショー、7月のテクノフロンティアと比べると、見るべき所が少ないと思い、昼過ぎに出かけて2時間半ほど、興味のあるところだけ見て回った。

入っていきなりのところにブースを構えていた、サムテック。ウチの製品のデバッグ用ヘッダを作っていただきお世話になっているので、ご挨拶がてら覗いてみた。
新規開発したという20GHz同軸のテストケーブルとテストポイント。
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ケーブル先端はスプリング式コンタクトになっており、基板側のテストポイントに差し込んで捻ると固定する。
高周波用途のこういった部品は高そうだが、かなり価格を抑えているという。この分野に後から参入して価格が非常に高いのに驚いたそうだ。また、シグナルインテグリティには大変気を配っており、同社のウェブサイトからはかなりの技術資料がダウンロードできる。

アドリンクス。蓋の無いBGAソケットを展示していた。放熱のため上にヒートシンクを載せるとすると、蓋が無いのはいいかもしれない。削り出しで作るので金型代が要らず、材料もガラエポなので比較的安価にできるそうだ。他のBGAソケットのメーカーも見たが、大層な作りで特性は良さそうだが高価になりそうなのに比べると、こちらの簡易なものでも十分かもしれない。

gootブランドで有名な半田ごての太洋電機。昨年はジャパンユニックスの半田ごてでいたく感動したが、いいお値段なので結局ラボの半田ごては古いまま買い換えていない。今年こそは...。
gootの半田ごても立上りが早く使いやすい。コテ先を冷まさずに素手で交換できるのは便利。

いつものようにマックエイトさんでサンプルをいただいて、あと、オミヤゲに東京ビッグサイト土産に「桃茶」を買って帰った。
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