Agilent Measurement Forum 2007
昨年に引き続きAgilent Measurement Forumに参加。
昨年は2日間出席したが、今年は6月6日が High Speed Digital / Automotive Day と興味あるセッションが1日にまとまっていたので参加しやすかった。
午前中1本目は、東芝から芝浦工大の教授に転身された須藤さんによる基調講演で、テーマは高速デジタルの実装技術を展望したもの。おおむね、先日のJPCAショー併催のシンポジウムで取り上げられた内容と重複するもので、スルーホール(ビア)の影響、高周波損失、パワーインテグリティといった項目が並ぶ。解析結果が並べられており、資料は後々でも参考になりそう。
目新しい(というほどでもないが)内容としては、レシーバの入力容量による波形への影響、パッケージ・ボード接続部でのインピーダンス不整合、ガラスクロスによる差動線路スキューが取り上げられていた。いずれも他所でより詳しく発表されているで、例えば3つめのテーマはDesignCon 2007でのIntelの研究発表のほうがより深い考察であり、ここでは紹介程度に捉えておくべきだろう。
2本目も基調講演でAgilentのDave Ciproani氏による、オシロスコープの技術解説。昨年も同じようなテーマで話を聴いたが、やはり知らない世界で興味深い。例えば寄生成分がLCとなっているトコロに、ISIを回避するためあえてLを追加している、といったハナシはナルホドと感心させられる。
ランチの後、ジッタ測定入門編ということで、アジレントの岡崎さんによるセッション。ジッタに関する説明は過去DesignConでいくつかのセッションを聴講したが、ハイレベルすぎてついていけなかった。今セッションではBUJ (Bounded Uncorrelated Jitter)のような説明しにくい項目を省いて、本質的なジッタ解析をリアルタイムオシロを使った事例を示しながらの解説で、まさしく入門にうってつけだったのではないだろうか。最近はリアルタイムオシロのコンパニオンソフトウェアが充実して、ジッタ解析ソフトもCDR機能を持っていたりして、うらやましい限り。
でも、直近で、ジッタで困っているという事例を見ないンだよなぁ。
続いて、ナショセミ 河西さんによる、高速シリアル伝送向けナショセミ製品紹介(笑)セミナ。具体的にイコライザ製品などを紹介されていて参考になった。資料としてインターフェイス製品セレクションガイドをいただいたが、5.2Gbpsに対応するLVDSイコライザとか、LVDS→CMLでケーブル伝送するドライバとか無いですかね? (HyperTransport 3.0のケーブル伝送とか)
最後に受けたセッションは、アイカ工業 田中さんによる、伝送路シミュレーションの精度向上というテーマでの講演。いわゆる実測ベースのモデリングにまつわるお話。取り上げられたアイディアは3つ。「減衰素子」「実測ベース電気モデル」「プリント板の電磁界解析モデル」。
「減衰素子」というアイディアは、基板の材料特性値(公称値)を使ったシミュレーションと実測で生じる減衰特性の違いを、シミュレーションでは「素子」として挿入することで補正するというもの。シミュレーションで使う値の方を補正すべきではないかと思うが、実際には難しいのだと思う。気になるのは、周波数領域では合わせ込んだとしても、時間領域のシミュレーションの際、減衰素子の挿入位置によって結果は変わらないだろうか、という点。どこかに集中配置する場合と分散配置した場合など、今後の検討に期待したい。
「実測ベースの電気モデル」は、資料の図を見るとテクトロニクスのiConnectを使っているのだろうか。実際にどのようにモデリングしているかは紹介されなかったが、テクトロ(旧TDA)が言うほどモデリングは簡単じゃなかったことを思い出す。コネクタなどモデリングしたい部分で発生する多重反射の影響で、思うようなモデルにならなかった経験がある。本当はコネクタやビアなどは集中定数モデル(LCR)にしたいところ、なかなかフィッティングできず、伝送線路モデルにしたらすんなりできたとか。苦労話もお聞きしたかったが、競合製品なのでムリか(笑)。前職ではアジレント86100+54754とiConnectで使ってたンだけどなぁ。
「プリント板の電磁界解析モデル」は、いわば究極のシミュレーション手法。プリント板全体をフルウェーブ解析できればそれに越したことはないのだが、結局リソースと時間という問題にぶち当たる。それでも旧来の手法では、紹介されていた通りリターンパスが途切れるケースなどでシミュレーションではカバーできない部分があるのは明白で、フルウェーブの手法はうまく取り入れていく必要があるのは確かだ。だから、ApsimのFDTD+SPICEとか、AnsoftのHFSS+SPICEのように、各社苦労と工夫を重ねている。
スリットを跨ぐ伝送路のケースで、リファレンスプレーンがある部分とスリット部を別々のモデルにして伝送シミュレーションをしている例が挙げられたが、これでは単にインピーダンス不整合箇所ができるだけで、それぞれのモデルは理想グラウンドにリファレンスしているので、田中さん本人が指摘していたようなリターンパスの不連続というところまでは再現できていない。やるとすれば、プレーンを(少なくともリターンパス経路を)モデリングして、各伝送路モデルのグラウンド側をつなげてやらねばなるまい。おそらく、インダクタンスモデルを作って各伝送路モデルのグラウンド側をつなぐと、ある程度近似的な値を求めることができると思うのだけれども。
(図があるといいのだけど、引用許可をもらっていないので…)
一足飛びに電磁界解析に進んでしまうと、リターンパスをどのように理解すべきか、という大事な部分が抜け落ちてしまう恐れがある。そのモデルについて答えを知りたい、という場合はいいんだろうけど。
会場の質問に対して伝送特性の実測で生じていたディップを、プレーンの形状による共振から来るもの、とされていたが、それでは差動線路の場合にディップが見えないことの説明がつかないし、スリットがなくても eigen mode の共振周波数は見えるはず。やはり、リターンパスと等価インダクタンスで説明するのが適当ではなかろうか。
最後に。
このブログの読者の方から、ランチで出された料理の写真を載せないのは、ブログの書き方が判っておらず、ケシカランというようなご意見を頂戴した。直接じゃないけど。スミマセン、当ブログの趣旨と合わないのでカンベンしてください。












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