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プロードライザの使い方

スラッシュドットジャパンへの投稿に、

Xbox360 [impress.co.jp]と比べてえらくスッキリしてるなと思ったら、プロードライザ [google.co.jp]を使ってるんですな。GPUとGDDR3メモリが一緒のヒートスプレッダの下にあったり、ノートパソコンみたいな設計で、ヒートパイプと16cmのシロッコファン。そりゃ薄型PS2並に静穏だろうね。
なんていう書き込みがあったけど、PS3でのプロードライザの使い方は以前書いた通り「分離型なので」スッキリはしないはず。

プロードライザの使い方は2種類ある。発売元のNECトーキンのページにあるように「デカップリング回路設計」と「フィルタ回路設計」があり、それぞれ用途と特性が大きく異なる。

「デカップリング回路設計」の方は、プロードライザをパスコンの代替として使う方法で、2つある電源端子を共通の電源ネットに接続する。プロードライザ(Fパッケージ)自体は等価で実に1200μF程度の大容量のコンデンサ相当になるので、IC近傍に配置すれば高周波用に配置されていたいくつかの470μFや220μF、それにほぼ全ての10μF以下のセラミックコンデンサを代替することが可能だ。この場合、プロードライザを使うことで部品点数は大幅に削減され、「スッキリした」設計となる。もっとも、この場合でもプロードライザ1個と、複数のセラミックコンデンサの価格を比較しても、まだまだ前者の方が高くコストメリットが見えないし、なにより、プロードライザ本来の特徴を生かしていない、もったいない使い方であるといえよう。

PS3で採用されている「分離型」は「フィルタ回路設計」のことを指し、プロードライザ本来の使い方である。プロードライザは2つの電源端子を持ち、片方を入力、もう一方を出力に使う。この部品自体は伝送線路フィルタのような特性を持ち、高周波成分を通過させない。このページのグラフで示されるような特性は、この使い方の時にのみ得られる。さて、高周波成分を通さないので、ICの電源をシステム全体の電源と分離してその間にプロードライザを挿入すれば、ICの高周波ノイズをシステム全体に回すことなく、EMIノイズなどの低減に効果がある(はずだ)。ただし、ここで気をつけなければならないのは、高周波を通さないということは、ICが急峻な電流を要求したときに、電流の供給が間に合わないという点だ。周波数の高いトランジェント電流を供給するためには、ICの直近にリザーバタンクの役割をする応答速度の速いコンデンサ、すなわち高周波のパスコンが、やはり必要になる。つまり、プロードライザをこの使い方で使った場合、コンデンサ自体を削減することはできないのだ。しかもプロードライザのパッケージは大型なためレイアウト設計にはかなりの工夫を要する。決してスッキリとした設計にはなり得ないのだ。だから、PS3の基板を見てスッキリしているのはプロードライザの貢献だと考えるのは早計といえる。

プロードライザの出自を考えると、後者の使い方が理想に近い。しかし、レイアウトの制約が大きく、機器にインプリメントするのはなかなか難しいというのが現実だ。これを踏まえて採用する必要があるが、うまくいけば決して安くはないプロードライザの部品コストでも十分見返りのある効果が得られるだろう。

2ちゃんねるには、

340 2006/11/13(月) 20:47:39 ID:ydqG07Lx
Socket774

もうコンデンサは古い。PS3にも使われているこれ↓使ってくれくれ。音質画質にきくんじゃないか。

製品情報>製品一覧>プロードライザ>プロードライザとは
http://www.nec-tokin.com/product/cap/proadlizer/about01.html
高速動作化は高性能と引き換えに深刻なノイズ問題をもたらし、現在、デジタル機器開発の大きな障害になりつつあります。
NECトーキンのプロードライザは、このような高周波ノイズの問題を解決する画期的なデバイスとして誕生しました。
kHzからGHzに至るまでの広い周波数帯域にわたり、すぐれたノイズ吸収性を発揮するとともに、電源ラインを安定。
これまでのエネルギーデバイスの概念を超えた性能を発揮します。

ギガヘルツまでの広範囲な周波数帯域で従来コンデンサの組み合わせよりはるかに低インピーダンス。
これまでのデカップリングデバイスは、「高速付加応答」と「ノイズ抑制」というニーズに、
それぞれの機能に適した複数のコンデンサを組み合わせ設置する必要がありました。
したがってCPUの高速化にともない、コンデンサの点数も増え、回路設計が複雑化していく一方でした。
しかしプロードライザなら、GHz帯域までの周波数帯域をカバーでき、
しかも現在あるどんなデバイスよりも、低フラットなインピーダンス特性を実現。
つまり、これ1種類だけで、デカップリンク対策が完結します。
2月よりサンプル出荷を始め,量産は4月から行う。サンプル価格は300円。

なんて書かれているが、けっして完全なコンデンサの代替となり得るものではなく、これだけでデカップリング対策は完結しない、という点に注意したい。

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