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パスコン(Decoupling capacitor)

昔、LSIではなくICだった頃の基板を見ると、ゲジゲジのようなICの隣には必ず茶色く丸いコンデンサが乗っていた。ICには必ずパスコンを入れること、というのは常識で、設計規格ばかりか「初歩のラジオ」のようなアマチュア向けの製作記事にも必ず書いてあった。
ICの電源とグランド(GND)の間を「バイパス」するコンデンサだから「パスコン」と呼ばれていた。ICの急峻な電流消費に対する電源、という機能を持つ。

近年の大規模LSIの時代になっても、LSIの周辺に配置されるコンデンサはやはり「パスコン」と呼ばれている。

機能的には「電源ノイズを取るため」という側面から注目されているが、電源ノイズの原因もやはりLSIが必要とする電流消費を賄いきれないがために発生するのであり、LSIのためのローカルな電源と考えてよい。
パスコンがノイズを取る原理は一般に、コンデンサの「直流は通さないが交流は通す」という性質で理解されている。すなわち、ノイズの持つ(0でない)周波数成分をGNDに流してしまう、という働きを期待している。

英語で表記される際の"Decoupling"(=結合を断ち切る)という意味は、LSI周辺とそれ以外の電源部をAC的に遮断するところからきている。実際には、電源回路のノイズをLSIに送り込まないことと、逆にLSIで発生したノイズを電源回路に流さないことの両方が期待されている。

コンデンサはどのように工夫しても寄生成分を持ってしまう。特にインダクタンスがあるがゆえに、ある周波数以上ではインダクタンスとしての働きが顕著になってしまい、交流成分を流しにくくなってしまう。また、ノイズを垂れ流す先であるGNDも、ほとんどのシステムで理想的なGNDとは程遠いものとなってしまうため、電源~GND間をノイズがぐるぐる廻ってしまうだけになる。こうなるといくらコンデンサによってノイズ対策しようとしてもムダである。

最近、LTCCという新しいデカップリング素子が注目を浴びている。パスコンに変わって高周波のノイズ対策に使われるこの素子は、電源回路とLSI間のインピーダンスをあえて高くすることで、高周波成分の通過を抑止しようというものだ。ノイズをGNDに垂れ流さないため、本来の意味でのデカップリング効果が期待できる。

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