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超高速高周波エレクトロニクス実装研究会(H16-4)

エレクトロニクス実装学会(JIEP)の平成16年度最後となる超高速高周波エレクトロニクス実装研究会に出席。

今回面白かったのは次の3つの講演。

(2) 準ミリ波帯域まで視野に入れた電源デカップリング・デバイスの開発(ケイアールエフエム)
いわゆるパスコン(デカップリングコンデンサ)で高周波ノイズ対策をしようとしても、実装されたコンデンサの周波数特性ではせいぜい数百MHzでインダクタンス成分が支配的となって、デカップリング効果が見込めない。以前さんざんこのあたりをシミュレーションしてみたのだが、どんなにESL(等価インダクタンス)が小さくてもビアやランドで生じるインダクタンスが1nHより小さくならないので、系として数百MHz程度までしかインピーダンスを下げることができなかった。
また、パスコンは要するにノイズ~すなわち高周波成分~をGNDに帰還させるだけで、ノイズそのものを消し去るワケではない。要するにノイズはいつまでもグルグルと電源系を循環することになる。
そのためにLTCCなどの広帯域フィルタ型デカップリング素子が登場するワケだが、この発表のようなQ値の悪いインダクタを応用したフィルタ型デカップリング素子は、なかなか興味深い。そういえばイトケン先生もQが低いインダクタ(インピーダ)を推奨していたっけ。

(6) Gbps伝送におけるIntra Skewの影響(日本モレックス)
差動ペア(Differential Pair)の配線長をムリに揃えると、揃えない場合より波形が悪くなる、という衝撃の発表。
以前、同じようなシミュレーションをしてやはり似たような結果になったのだが、にわかには信じがたく、モデルを見直しているうちに、単一線路の場合モデル(パターン)と境界条件(ポート)のインピーダンス整合が取れているのだが、差動線路にしたときに不整合になっていることに気付き、そのために波形が悪化したことが判った。
これはおそらく全く同じ過ちを犯しているに違いない。
シミュレーションで結果を出した際に、まず常識と照らし合わせてその結果得られる結論が妥当なものかどうか考えてみる必要がある。常識と食い違う結果である場合、結果を疑い、どこかに間違いが無いかどうかを慎重に検証してみるべきである。実験でも同じことがいえるが、常識から外れた結果をリーズナブルに説明できないまま発表するとこうなる、という事例であった。
その辺、じっくりと話してみたかったのだが、発表を終えるや否やササッと退席されてしまったので、残念

(7) 電磁ノイズ干渉によるユビキタス機器の通信性能への影響(拓殖大)
無線LANやBlueTooth等の「自発的」電波が、PC等自身の機器に与える影響は設計者としては気になるところであるが、この発表ではそれを、有線LANのデータスループットの変化によって実験で検証している。コンセプトはすごくいい。
ところが、実験結果からデータバス~具体的にはPCIバス~に外部電磁界を印加した際に最も大きな影響が出る、という結論に至った。
ちょっと待て。
LAN(Ethernet)などでの通信プロトコルと違って、PCI等コンピュータのデータ伝送では一般にエラー訂正とか再送といった品質保証手段は用意されていないぞ。(PCI Expressは通信プロトコルにならって再送手段があったりするが)
エラーが発生すると、データ化けや動作異常、システム停止となって、スループットの低下どころでは済まなくなってしまう。
電源等から回り込んで他のインターフェイスに影響を与え、結果としてスループットが低下するのであれば、イミュニティ(Immunity)の実験としては価値があるのだが、この実験の目的とはかけ離れてしまう。他のブロックに干渉しないようなシステムでの実験が必要ではないかと思った次第。

まぁいろいろツッコミどころがあって面白い研究会であった。

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